沢原高原

鹿児島県の北端に位置する吉松町は、エドヒガン(ヒガンザクラ)の自生南限地として知られる。沢原(さわら)高原の雑木林に点在するこの花はピンクと白色の2種類で、3月末から4月初めにかけて山に明かりが点るように咲く。また近くの池平公園にはサクラやツツジなど四季折々の花木が植えられているので、あわせて巡るのもよいだろう。

エドヒガンの群生地は、栗野岳の北西部、吉松町の沢原高原から栗野岳へ通じる道路沿いにある。ここは大正12年、ヒガンザクラ自生南限地として国の天然記念物指定をうけた。サクラの種類はエドヒガンであるが指定当時ヒガンザクラとされた。エドヒガンは開花期が早く、花芽の成長が葉芽より早く、森林内では大変目立ちきれいである。

エドヒガンの群生地は分岐点を直進する。道路は沢原高原の縁にある。沢原高原はススキ、ワラビが多い。春にはサクラスミレ、アリアケスミレ、ニオイタチツボスミレ、ナルコユリ、ホウチャクソウ、夏にはユウスゲ、コバギボウシ、カワラナデシコ、秋にはミヤコアザミ、オミナエシ、ヤマハギが顔を出す。ことに、ユウスゲ、サクラスミレは貴重な植物である。

エドヒガンは他の樹木と混生している。高木にはイチイガシ、シラカシ、ウラジロガシ、スダジイ、シロダモ、低木にはヤブツバキ、アオキ、キブシ、サザンカ、下草にはサツマイナモリ、フユイチゴ、シャガなどを見ることができる。

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