清水公園

関東平野の利根川と江戸川に挟まれた野田市は、「しょうゆの町」としてつとに有名であり、同時に関東有数のサクラの名所地としても知られている。野田氏北西部にある清水公園は、ソメイヨシノを中心に2000本のサクラが一斉に咲き揃い、都心から近いことから、毎年大勢の観桜客が訪れる。

清水公園のサクラは、明治初年頃園内にある寺院の境内や参道にソメイヨシノが植えられたのが最初で、ちょうどこのサクラが江戸染井村(現在の東京都豊島区駒込辺り)の植木屋から売られていた時期に一致している。

この頃植えられたサクラは現在も数本残っており、中でも、寺院の境内にある「劫初(ごうしょ)の桜」は、100年を超える老木であるにもかかわらず、うろの中から若い幹根が生じてよみがえった珍しいサクラで、必見に値する。

その後、明治中期にしょうゆ醸造家が、寺院の周囲にサクラを植えて公園として開放、さらに東武鉄道の柏-大宮間が開通し清水公園駅が開設された昭和4年以降サクラの植樹が盛んに行われた。現在では面積約20ヘクタールの園内に約2000本のサクラが植えられ、4月上旬のさくら祭りには約30万人の花見客で賑わうようになった。

植えられたサクラの90%はソメイヨシノであるが、このほか園内には40種以上のサクラが見られる。シーズンにさきがえて咲くカンビザクラやシダレザクラ、ソメイヨシノとほぼ同時期に咲くヤマザクラ、オオシマザクラなど、そして、ソメイヨシノのあとに咲くウコンザクラ、カンザンなどのサトザクラの仲間、さらに秋から冬にかけても咲くジュウガツザクラ、フユザクラなど、いろいろのサクラが鑑賞できるのも楽しみの1つである。 なお、園内には四季折々の花が見られ、特に5月に咲くツツジや6月に咲くハナショウブは見事である。

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