イカリソウ

ハナバチと共に目覚める花
イカリソウは落葉樹林帯に群落をつくって,見事な花をつける植物である。花にはいろいろな昆虫が訪れる。中でもトラマルハナバチとイカリソウとはきわめて密接な関係にある。トラマルハナバチの女王バチが越冬から目覚める時期と開花時期が一致し,しかもトラマルハナバチの口吻の長さとイカリソウの蜜が蓄えられている場所までの深さが同じだという。
鈴木和雄 東京都立大学理学部助手
花の形に由来する名前
イカリソウはその名の起源となった独特の花の形が特徴的で,昔から親しまれてきた植物である。冷温帯の落葉樹林の中で群落をつくり,春,見事な紅紫色の大きな花を一斉に咲かせる。かつては決して珍しい植物ではなかったが最近は乱獲と地域開発のためめっきり減った。この仲間として他に淡黄色の花をつけるキバナイカリソウ,日本海側に分布する葉が常緑のトキワイカリソウ,また西日本に見られ,白く小さな花を咲かせるバイカイカリソウ,サイコクイカリソウ,そしてバイカイカリソウとの雑種起源といわれているヒメイカリソウ,シオミイカリソウが地域的に見られる。
