姫路城

姫路を訪れる人が最初に目をうばわれるのが姫路城である。姫路平野の中央、標高45メートルの姫山に建つ平山城で、国宝・世界文化遺産にも指定されている。周辺には、歴史・文学・芸術に関する施設も多く、一日いても飽きることはない。4月上旬からは場内のソメイヨシノ・ヤマザクラなど約1,000本のサクラが春の陽光に光り輝く。

国宝姫路城。元弘3(1333)年、鎌倉時代末期に後醍醐天皇の皇子、護良親王の命を受けて立ちあがった播磨の豪族・赤松則村が、西国からの幕府方の攻撃に備えて砦を築いたのが始まりと言われている。その後も、西国統治の重要拠点として、羽柴秀吉、池田輝政ら時代の重鎮たちがこの城を引き継ぎ、そのつど拡張されて現在の姿を整えてきた。複雑巧妙な螺旋型縄張りや幾層もの屋根を連ねる堂々たるさまは、その姿が羽を広げて舞う白鷺にたとえられることから「白鷺(はくろ)城」の別名で親しまれている。

姫路市は、自然の草花を各所に配し全国から訪れる観光客の目を楽しませているが、4月上旬から中旬にかけては、姫路城の場内にサクラが咲き揃い、うららかな春の一日を満喫させてくれる。姫路城のサクラは、総本数約1,000本で、ソメイヨシノ、ヤマザクラ、シダレザクラが主となっている。三の丸広場の桜並木、西の丸庭園のシダレザクラを中心とした桜林、三国濠、菱の門周辺、姫山公園内の堀沿いの桜並木、喜斉門前広場および三の丸広場高台の桜林などが見所となる。また、書写山山上の圓教寺(えんぎょうじ)には約200本のサクラが参道を彩り、野鳥のさえずりとともに深山幽谷の世界に生命の息吹きを運んでくる。そのほかにも、手柄山中央公園や名古山霊苑、少し足をのばして小赤壁などでも見事な桜を見ることができる。

サクラ以外では、4月中旬から5月中旬まで咲くツツジ(名古山霊苑・書写山など)、5月のボタン(千姫ぼたん園)、フジ(恵美酒宮天満神社など)、バラ(姫路バラ園など)、8月のサギソウ(手柄山温室植物園)、10月のキク(姫路城三の丸広場の菊花展)などが観光ポイントとなっている。さらに11月になると、書写山、姫山公園が紅葉で紅く染まり秋の姫路を情緒たっぷりに表現する。

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宮川堤